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キロクのブログ

変わりゆく風景やものを単なる私的思い入れで記録中。意外とのんびりしてられない。

[昭和の名残り]団地のある風景

ここ数年、昭和(戦後)を築いた世代の人達が次々と天国へ行ってしまったことを強く実感していたけど、それに伴ってかどうか、町並みもどんどん変わっていることも実感。新しいものに嬉しくなる一方で、見慣れたものが無くなっていくことに対する寂しさもあり。
そんなわけで、そう遠くもない将来「撮っておけばよかった」と思うかもしれないものを、ひたすら地味に記録中。
今回はどんどん建て替えられていく”団地”に焦点を当てました。


建物に限らず、古い物ってどくとくの温かみがあるような気がする。

【追記】移転前のブログにて、子供の頃に団地に住んでたという方から好評だった当記事、今回は追加取材を加えて、画像も増量しています。

 昭和30年代から続々と建てられた団地もすっかり老朽化。
社会もライフスタイルもご近所づきあいも大きく変化。エレベーターがない古い団地は高齢化社会にはキツイ。現在、いろんなところで少しずつ建て替えやリノベーションが行われている。写真は茅ヶ崎市の浜見平団地は建て替え組。2016年時点ではまだ半分くらい残っていた。

浜見平団地は1964(昭和39)年に建てられたそうで、既に築50年。建設当時は団地暮らしは憧れ暮らし。その後も抽選でないと入れなかった時代があったという。

戦後はひどい住宅不足。
住宅金融公庫法(昭和26年)、公営住宅法(昭和27年)、日本住宅公団法(昭和30年)が次々と施行され、日本の住宅事情も変化し、ライフスタイルも大きく、そして急速に変わっていった時代だった。

それまでは、木造で、ちゃぶ台を畳んで布団を並べて敷いて寝る生活。鍵はあってないようなもの。トイレもボットン(汲取り式)、お風呂が室内にある家は限られ、多くの家では離れにあったり、銭湯に行くのが日常だったという。

それがコンクリート造りで5階建、食寝分離、水洗トイレやお風呂が各戸室内にあり、ちゃぶ台ではなくテーブルと椅子、ステンレスの流し台、シリンダーのついた金属製のドア。気密性もプライバシーもある・・・、大きな変化だったに違いない。一方で、鍵っ子や孤独死なども増えたとも言われている。

融資や供給などが整備されていき、住宅取得がしやすくなってくると、「憧れ」から一転。団地は低所得者の住宅とか、子供同士でも「団地っ子」とバカにされたりするような扱いを受けるといった風潮になっていった。

 

たった15年か20年くらいでこれほど評価が変わってしまうのだから、世の中がどれほど変化したかが垣間見えるような気がする。同時に、同じ物でも評価もこんなに変わるのだから、いちいち評価に振り回されず、自分が納得できればいいとか多様性を認めては?という風潮ができるのも自然なことかなあと思えてくる。

低所得とバカにされた団地暮らしの人達が、住宅ローンに縛られず、猫の額のような土地と家屋の相続で揉めることもなく、人生を楽しんでいたり、長年の見栄を張らないご近所づきあいで助け合いをしていたり。一体どっちが幸せなのかはわからない。

ただ、公団の歴史を振り返ると、フランスでも物議を醸し出した存在だったらしい。日本の建築にも影響を与えた建築家、ル・コルビジェが設計したという、フランスで最も有名な公団「Unité d'Habitation(ユニテ・ダビタシオン)」にはこんなエピソードが。

今は公団建築のお手本とされているが、この建物、建設当時は大変な反対運動を受けている。医師会からは「こんな監獄のようなところで暮らしたら、誰だって精神的におかしくなる」という通達を受け、街の美観保全を担う協会は「人間性に対する冒瀆」とまで非難したらしい。
確かに庭付き一戸建ての家は魅力的である。一戸建てに比べれば、集合住宅は「巣」に見えるかもしれない。だが、経済的にマイホームにはてが届かない多くの人達に明るい部屋と便利な生活を供給するのが、公団住宅の使命ではないか。コルビジェはプロジェクトを遂行したのだ。

(引用:「公団住宅はパリのアパルトマン」)

 

 余談だけど、パリって公団もおしゃれに見える・・。こちらも参考になります。

 

団地の多くが駅から離れているが、日当たりや風当りがよく、棟の間の間隔も広く、緑も多く、環境はよいと思うし、贅沢に土地を使っている。季節感もあり。わざわざこうした公団を選んで引っ越してくる若い人も増えているとか。

 

こちら3DK(和室6帖×1、和室4.5帖×2、DK6帖)。
今の感覚からするとお世辞にも広いとは言えないけれど、それはきっと溢れる物のせい(笑)。これで家族が暮らせるほど、数十年前までは多くのモノを必要とせずに暮せたということかも。

そもそもこうした団地は、民間の賃貸のような「礼金」や「更新料」がなく、保証人も不要。家賃1年分とか有る程度の期間の前納も受け付けてくれるのという。造りも意外と合理的、何しろ収納も大きいし、管理の良いことから、人気らしい。

こうした光景もなくなっていく。新しく建て替えられたものはきれいだけど、家賃は高い・・・。そもそも公団の目的って何だっけ?というくらい、高い(^^;)

上記は、かつて賑わっていた商店街と集会所。

 

【追記】2017年3月

また新たに取り壊しが始まっていた。

聞いたところによると、①優遇措置を受けて建て替え後の団地に引っ越す人、②優遇措置なしで建て替え後の団地に引っ越す人、③他の団地を紹介してもらい引っ越す人、④民間のマンションやアパートを借りる人に大きく分れるようだが、街区によっては仮移転を経ているので2回引越していたりもする。引越代は①②③④全て(仮移転も含み)URが負担してくれたとのこと。

とはいえ、団地の住人の多くが高齢者。
住み慣れた空間や使い勝手、たくさんの荷物と思い出を手放し、引っ越すということだけでも大変だろう。何十年と顔を合わせたご近所の人達とも別れ、多少の優遇はあっても高くなった家賃。使い慣れない機器。建物の老朽化やエレベーターなどがないなど設備面を考えれば仕方ないかもしれないけれど。